はじめて知った世界の色は
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いつもぐっすりと心穏やかに眠りにつけた日は決まって同じ夢を見る。
イヤなこと、悲しいこと、ツラいことの繰り返し。
私の机に白い花が置かれてたときも、雑巾の代わりだって床を這うように掃除させられたときも、靴を隠されて裸足で家まで帰ったときも。
こんなのは永遠には続かない。一時的なものだからって耐えて、耐えて、耐えて、そして消えたくなった。
自分を守るために、一線を越えないために私は小さな世界の中で生きることを決めたのに……。
どうしてまだ、こんなに苦しいのだろう。
右目から一筋の涙が流れた瞬間、そこに向かって小さな風が吹いた。
ハッと目を覚ますと、そこには心配そうに私を覗きこんでる緑斗の姿。
「大丈夫?ちょっとうなされてた」
頬を触るともう涙は止まっていて、私を起こそうと風を作ってくれたのか、それとも涙を乾かそうとしてくれたのかは分からない。
「ベッド侵入禁止だって言わなかった?」
それでも私は弱く思われたくない。
……本当に我ながら可愛くない性格だなって思う。