はじめて知った世界の色は


「侵入してない、してない!本当はその肌触りが良さそうな布団で眠ってみたい気持ちはあるけど、どうせ俺はベッドを通り抜けちゃうし」

そんな気持ちがあったなんて初耳だけど、ちょっと意地悪だったかな。私のことを心配してくれたのに。


「そんなことより翠ちゃん」

「……?」

「おはよう」


ドキッとする笑顔。

今のはかなり反則だと思う。目が覚めると「おはよう」眠る前は「おやすみ」と必ず緑斗は言う。

普通のことだけど、それを当たり前のように言えるのって凄いことだと思う。

眩しいぐらいキラキラとした笑顔だし、すごくニコニコしてて低血圧の私じゃ絶対にムリな表情って……。


「なんか隠してない?」

一気に疑いの目。


「か、隠してない!隠してないよ!」

「………」

ニコニコしすぎてかなり怪しい。しかもかなり動揺してるし、なんだか窓のほうを頻繁に気にしてるし。

私はベッドから出て、そのまま勢いよくカーテンを開けた。


「わ、す、翠ちゃん……っ!」

緑斗の声は届かずに私の目に映ったもの。
それは……。
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