はじめて知った世界の色は


私の1日のスケジュールはシンプル。

朝起きて、両親が仕事に出掛けたら下におりて適当にご飯を食べる。そしてまた自分の部屋に戻って、ただひたすら時間が過ぎていくのを待つ。

漫画や雑誌は全部飽きるほど読み尽くした。

でも退屈な感情よりも、もっと絶えられないものを私は知ってる。


そして時間をもて余しながら夕方になって、夜がきた。

こんな生活がいつまで続くんだろう。
いつまで私は耐えることができるんだろう。

眠りにつく時も眠ったあとも夢の中まで、みんなの高笑いが耳に響いて離れない。


不安と不満で押し潰されてしまいそう。

もうイヤだ。なにもかも。


気づくと私は部屋着のまま外に飛び出していた。夜空には丸い三日月が浮かんでいて、今の時刻は深夜2時。

久しぶりの外は空気が冷たくて、夜の闇は私を飲み込んでしまいそうなほど真っ暗だった。


薄暗い外灯の下、ただあてもなく歩く。


なにがしたいのか、どこに行きたいのか。
そう自分に問いかけても答えはない。


「こんな時間になにしてるの?」

すると突然、後ろから声が聞こえた。

ビクッと条件反射で身体が反応したのが恥ずかしい。恐る恐る振り返ると、そこにはひとりの男の子が立っていた。
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