はじめて知った世界の色は


今どんな状況なのか分からない。

分かるのは顔を上げた森川さんの瞳がまるでウサギのように真っ赤になっていることだけ。 


「な……なんで森川さんが謝るの?」

私は別に森川さんにはなにもされてない。だから謝られる理由は思いつかない。

森川さんはギュッと唇を噛み締めて強い眼差しで私を見た。



「……実はね、あの日。茅野さんのことを先生に言ったのは私なの」

森川さんの声が震えていて、それと同時にバクバクと私の動悸が速くなる。


「ごめんなさい。本当にごめんなさい……っ」


大粒の涙を流す森川さんを見つめながら、私はあの地獄のような毎日を思い出していた。
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