はじめて知った世界の色は


最初は言葉の暴力だけだった。

『ブス』『うざい』『消えろ』

授業中でも廊下でもイヤなことばかりを言われて、そのたびに女子たちがクスクスと笑っていた。

エリはただ周りの人たちに指示をしてるだけ。絶対に自分の手は汚さずに私が罵倒されているのを見てるだけ。

こんなのは飽きればすぐに終わる。

そんな気持ちだけで私は毎日背中を丸めながら生活してた。


だけどある日。状況が一変する。

数学の授業を潰して急遽行われたクラス会議。そこで担任の先生が議題として黒板に書いた文字は〝いじめについて〟


先生は続けるように『このクラスでいじめがあると相談された』『いじめは絶対にやってはいけないこと。いじめた人は至急名乗り出なさい』

結局、その会議でいじめた人は特定されなかった。もちろん誰も手を挙げないし、状況が鎮火するわけでもない。


『お前さ、なにチクってんの?』

その日から私へのいじめは言葉だけじゃ済まなくなった。
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