はじめて知った世界の色は


髪の毛を引っ張られてトイレに連れ込まれたこともあった。恥ずかしい写真をSNSにばらまくと脅されたことも、『早く死ねよ』と屋上に立たされたこともあった。

みんなの顔が悪魔に見えた。

これで私が死んだら、こいつらへの復讐ができると考えた。


悔しかった、ものすごく。

私はなにもしてないのに、まるでゴミのような扱いをされて、私を傷つけることで毎日の楽しんでるエリを含めた女子たちのことが憎くて仕方なかった。

でも私の味方なんて、ひとりもない。

死にたいけど、死にたくない。

こんな奴らに殺されたくない。


だから私は逃げたんだ。

学校という鉄格子の檻から。


なにを言われても私はあの場所には戻らない。

例えつまらない毎日でも、例え時間をもて余す日々でも、例え悔しい気持ちがこみ上げてきても。

私はもう外の世界と関わらない。

そう強く決めたはずなのにどうして今……。


――『あの日、茅野さんのことを先生に言ったのは私なの』

なんでそんなことを言うの?
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