はじめて知った世界の色は
すると緑斗はビックリしたような表情をして。
でもすぐにいつもの顔で微笑む。
「聞いてもいいの?」
ほら、やっぱり本当は気になってた。
それなのに興味がないふりをして、知らないふりをして。その緑斗の優しさには随分前から気づいていたけど。
「いいよ。でも最初にひとつだけ……。いじめられて不登校になってるなんて、カッコ悪くて言えなかった」
私は強がりだから。
そういう虚勢を張ったまま緑斗と出逢ったから、弱い自分を見せることを躊躇った。
だから別になんてことないよって。いじめられたからじゃなくて、いじめをするような人たちと一緒にいたくないから学校に行ってないだけ、
なんて、そんなバレバレな強がりをしたいのに、ちょっと今は心が不安定。
「俺は学校が全てじゃないと思うよ。だから行かないことで翠ちゃんが自分自身を否定することもないと思う」
そんな私を見透かしたように緑斗が私の欲しかった言葉を言ってくれた。
17歳の私にとって学校はひとつの世界で、そこから外れた人間は周りから冷ややかな視線をされる。
学校に行かないことは、なにもしてないことと一緒。だから私の両親は私のことを理解しない。
私のことをダメだって言う。