はじめて知った世界の色は
◇◆◇◇
「えっと、一応確認しておきたいんだけど」
警戒心が人一倍強い私が他人を家に招き入れるなんて普通じゃ考えられないことだけど、何故か今さっき会ったばかりの男の子が私の部屋にいる。
私はいつものようにベッドに座って、男の子は借りてきた猫のようにドアの前で正座。
見ていいのか悪いのか分からない感じで私の部屋を見渡していた。
「アンタって幽霊とか、そういう感じのもの?」
日本語がおかしくなったけど、だいたいは伝わったと思う。
男の子の身体は今でも透けてるし、足はちゃんとあるのに2階へと続く階段を上る時も足音はしなかった。
「うん。俺、幽霊」
いや、そんなに堂々と肯定されても困るんだけどな。
今さら男の子を家に連れてきてしまったことを後悔していたけど、あの場で断ったところで男の子が諦めてくれたかどうかは不明だ。
「あ、そうだ!自己紹介してなかった!えっと、きみの名前を教えて?」
本当に子犬みたいな人。
っていうか自己紹介とか普通自分からするんじゃないのかな。幽霊と接したのは初めてだから、そこら辺もよく分からないんだけど。
「……す、い」
聞かれるがまま、私はぽつりと答えた。