はじめて知った世界の色は
「私は必要とされることが認められることだと思ってた。だから必要とされてないってことは自分に価値がないことと同じだと思ってたの」
お姉ちゃんはそう言って同じ種類の花火をふたつ手に取った。
「でも何もなくても戦える武器がなくても必要としてくれる人はいる。私はずっとそんな人になりたかっただけ」
ライターの小さな火を近づけると花火は再び綺麗な光を放って、お姉ちゃんはそのひとつを私に渡す。
「だから翠が羨ましかったんだよ。勉強も運動も得意なことも平均的。それでもやっぱり翠には魅力がある」
心に留まっているイヤ言葉や傷つく言葉たち。
それが浄化されるようにお姉ちゃんの言葉だけが雫みたいに沁みていく。
「翠は自分では気づいてないかもしれないけど、どこにいても頑張れる人だし愛される人だよ」
「……お姉ちゃん……」
「姉として翠が苦しかった時に言ってあげられなかったこと。今さらかもしれないけど私は翠のことが大好きだし、大切だし、これから姉妹として楽しい時間を過ごしたいと思ってる」
ひとつ、ひとつ、お姉ちゃんとの溝が消えていく。
そして最後に残ったのは私もお姉ちゃんのことを嫌いと思ったことは一度もないってこと。
それで、いつだってその背中を追いかけて、凛とした姿にずっとずっと憧れてた。
「だから、もしなにかあった時には一番に頼ってね。私が味方になるからね」
お姉ちゃんがまた泣いて、続くように私も泣いて。
「お姉ちゃん……お姉ちゃん。私もごめん。ごめんなさい」とその腕の中で私も打ち明けることができなかった本音を全て話した。