はじめて知った世界の色は


それでも私は学校に抗議しに行くことも、いじめた人たちの家に乗り込むことも止めてほしいとお願いした。

それは状況が悪化してほしくないからじゃない。


私はもう、負けることはないからだ。 


いじめは過去のこと。私はいじめられていたけど、イヤなことが続くことに対して私は自然と受け身になっていて、耐えればいつか終わるだろうと自分で自分を弱い立場だと認めていた。

もし今同じいじめをされても私は受け入れることはしない。

泣き寝入りも絶対にしない。

だから私はいじめに負けることはないのだ。


「ねえ、さっきから翠ちゃんスマホばっかり」

部屋の掃除が終わって明るくスッキリとした空間で私がスマホを見ていると緑斗は少しつまんなそうな顔をしていた。


「ああ、ごめん。お姉ちゃんとのメールが終わらなくてさ」

私のスマホにお姉ちゃんの名前が表示されることはなかったのに今はほぼ毎日のように連絡を取っている。


「帰っちゃって寂しいんじゃない?」

「うーん。でも美味しいパンケーキ屋さんがあるから今度一緒に行こうって」

「パンケーキ!?」
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