はじめて知った世界の色は
私はまた体温が上昇して慌ててパタパタと顔を扇ぐ。
浴衣なんてただのオマケで緑斗を夏祭りに連れて行ってあげることが目的なのに私のほうがサプライズされてしまった感じ。
「浴衣も髪の毛も帯も下駄も全部可愛い」
「……あ、ありがとう」
「でも一番はそれを着てる翠ちゃんかな」
ああ、ちょっと今、緑斗の目が見れない。
ドクンドクンと心臓が速くて、わざとそっぽを向いてしまった。すると緑斗はクスリと笑ってコンクリートに映る私の影の傍にきた。
きっと緑斗に影があったら私たちは重なっているだろうな、なんてそんなことを考えたりして。
「行こう、翠ちゃん」
緑斗はそう言って私の隣に並んだ。