はじめて知った世界の色は
オレンジ色にライトアップされた四角い格子の中にくるくると回る風車がそれはもう数えきれないくらい。
まるで一面に花が咲いているみたいで、それと同化している緑斗はずっと瞳に映しておきたいくらい綺麗だった。
「うん、行くよ」
その景色に負けないくらい少し大きめの声が出た。
家族と話し合った時に私が言ったひとつのこと。
――『私、2学期から学校に行く』
そんなこと考えてもなかったし、そんなの言うつもりで家族を集めたわけじゃないのに、私は自然と背筋を伸ばして迷うことなく言っていた。
もちろんお父さんもお母さんも大反対。
いじめが解決してないのに行く必要はない。
翠が望むのなら転校したっていいと言ってくれた。
それでも私の決意は変わることはなく、なんとか説得して何かあった時にはすぐに相談することを条件に両親は2学期からの登校を許してくれた。
「まさか翠ちゃんがそんなこと言うなんて思ってなかったよ」
「うん。私もビックリなんだけどさ」