はじめて知った世界の色は
「もし翠ちゃんがまた傷つけられることがあったら俺が絶対に許さないから。たぶん倍返しはするよ?」
優しいんだか怖いんだかよく分からないけど、
そう言ってくれただけで私の中に安心感が生まれた。
「倍返しなんて……どうやってするの?」
「うーん。どうやって?」
「だからそれを私が聞いてる……って、この会話も前にしたやつじゃん」
「あはは、たしかに」
……もう、と緑斗に振り回されるのはキライじゃない。
――『翠は自分では気づいてないかもしれないけど、どこにいても頑張れる人だし愛される人だよ』
お姉ちゃんの言葉がふと聞こえた気がした。
私は大丈夫だ。
例え私のことを悪く言う人がいたとしても、そう思う人には言わせておけばいい。
私には私のことを理解して味方になってくれる人がいる。
それだけで、私は誰よりも無敵なんじゃないかな。
「翠ちゃん、風車ひとつ買っていこうよ。一緒に祭りにきた記念に」
目の前には目が回りそうなほど元気で可愛い風車たち。
じゃあ欲しいのを同時に指さそうと私が提案して、「せーの!」で私たちが示した風車は緑色の同じやつ。
それを見て私は人目を気にせずに笑ってた。
そしてその日から一緒に選んだ風車は風が通る私の部屋の窓際に飾られることになった。