はじめて知った世界の色は
きっと前の私ならまた逃げてた。
私はイヤなことを言われる立場で周りもそれを黙認してる。だから私は黙ってその言葉を受け入れてるしかなかった。でも今は……。
「なにこの人たち。色々勘違いしててムカつくね」
みんなには見えてないだろうけど緑斗がずっと怖い顔をしていて、珍しくなんだかグチグチと言い返しているから、それを聞いてるだけでちょっと笑っちゃう。
「は?なに笑ってんの?」
エリが私を睨み付ける。
緑斗の声はみんなには聞こえない。だからこの人たちに伝えるためには自分で言うしかない。
「……可哀想」
「は?」
ずっと渦巻いていた言い返したい言葉や言ってやりたかったこと。そんな戦える言葉が今の私なら言える。
「夏休みを合わせて約2か月間。エリたちはなんにも変わってなくて可哀想って言ったんだよ」
私は椅子から腰をあげて女子たちと同じ目線になった。