はじめて知った世界の色は
私は学校を休んで自分の部屋だけで生活して。そんなどん底から救ってくれた出来事が数えきれないほどある。
私が経験したあの夏休みは日数よりも、もっと長くて濃い時間になった。
それなのになにも気づけず、なにも学んでないエリたちがひどく可哀想に思えた。
「は?なんなの?可哀想とか誰に向かって言ってるか分かってんの?」
教室がピリピリとした空間に変わって、廊下からは騒ぎを聞いた他のクラスの人たちも覗いていた。
「分かってるよ。エリたちの周りには叱ってくれる人や本当のことを言ってくれる人がいないんでしょ。だから可哀想って言ったの」
「……アンタさあ、調子乗りすぎじゃない?またひどいことされて泣かされたいの?」
人から指摘されることを嫌がる人たち。それに耳を傾けない限りエリたちはいつか大切なものを失うだろう。
「いいよ。私のことが嫌いなら前みたいに沢山イヤなことをすればいい」
私の変化にクラスメイトたちが目を丸くする。
エリを取り巻いていた女子たちもビックリした顔をしていた。
「私、負けるつもりも逃げるつもりもないから」
それを言った瞬間、私を覆っていたものが全て剥がれ落ちた気がした。