絶対に、離さないで。(仮)
「天宮くん、酒井先生からプリント預かってたの。昨日配られた、三者面談のお知らせ」
プリントを差し出すと、天宮の手がヌッと伸びた。
「ありがとう」
一言そう言って。
「どういたしまして」
「やっほ、浅葱ちゃんちょっといい?」
「あ、はい」
菱田先輩だ。
「あれ、昨日の天宮くん」
天宮は、誰だと言わんばかりの視線を菱田に向ける。
「菱田先輩です」
「あー、そっか、ほとんど意識なかったもんね。昨日運んでやったの俺だから」
「・・・」
「お礼とか、ないの」
「どうも」
「昨日はもちろんなにもなかったよね、浅葱ちゃん」
「なにもありませんよ。普通に看病しただけです」
「そっか。じゃあ、ここじゃあなんだし、美術室に行こう」
「はい」
亜子に一言言うと、菱田とともに美術室へと向かった。