絶対に、離さないで。(仮)
「(早く学校終われ)」
学校にいる間の天宮は、常に内心早く帰りたい。
最近になって、よくつきまとうヤツがいる。
それこそ放課後は、今まで以上に早く帰りたかった。
運命のいたずらかなにか、やたらと運良く出会ってしまうものだ。
先日の雨の日も、公園でばったり会って、口が滑って余計なことを言ってしまった。
琴葉は深く追求しなかった。
逆にそれが怖い。
弱みを握られた気がしたからだ。
「天宮くん、途中まで一緒に帰ろう?」
気づけば放課後で、今日はついに教室で捕まった。
逃げられまいと、HRからずっと天宮の動向を探っていたのだ。
「天宮くんを知るには、やっぱり話すことが大切だよね。放課後ならゆっくり歩きながら話せるしね」
『一緒に帰らないと例のことをバラすぞ』
天宮にはこうして聞こえた。
もちろん、そんなことは言っていない。
「(別に、バラされたって、わざわざ気にする必要はない。何ら問題はない)」
心の中で冷静に判断するが、無視しても途中まで帰り道は同じなのだから、着いてくることになるだろう。
琴葉は、早く返事をしてくれないか、そわそわしながら待つ。
天宮は返事はせずに、スッと立ち上がり廊下に出る。
「(なんで家が近いんだ。最悪)」
琴葉は、ぱあっと明るい笑顔でその後ろを着いて行った。
「(これって、一緒に帰ってくれるってことだよね)」