絶対に、離さないで。(仮)
いざ、一緒に足を並べると、話すことが思い当たらない。
前は琴葉の絵に関しての熱弁をひたすら聞かせた覚えしかない。
さすがに同じことを何度も言うのはない。
「(ほかに、話題・・・・・・話題・・・・・・)」
探せば探すほど思いつかない。
「(なんか、見られてる)」
いつの間にか琴葉は天宮をジッとみつめていた。
「あ、ほくろだ」
「は?」
突然何を言い出すのかと思って、つい反応してしまった。
「首のところにほくろあるなーって。実は私も同じ場所にほくろあるんだあ」
「へえ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ま、前に菱田先輩の新作の絵えを見せて貰ったんだけど、それが凄く良くてね___」
結局、絵の話になる。
そうして今度は菱田の絵について熱く語り、分かれ道まで辿り着いた。
「(結局また絵の話になっちゃった・・・・・・)」
「(また絵の話か)」