絶対に、離さないで。(仮)


「天宮くんってモテるんだね」


「・・・・・・」


「みんな、”人間ロボット”なんてひどいこと言うけど、天宮くんだってちゃんとした人間だよ。絶対に話さないことはないし、ちゃんと感情だってあるし、ただちょっと表現するのが苦手なんだよね」


「それ、貶してる?」


「貶してなんてないよ!あの・・・・・・安心というか何というか」


「意味わからない」


天宮自身も、最近はよく喋っているなと思う。


「(変なのは俺もか)」


「ぜひお友達になりましょう」


「は?」


「え、いや、そうしたらもっと仲良くなれるかなって」


「無理だろ」


「え、なんで!」


「アンタに下心がないとは限らないだろ」


「そんなのない!」


「どうだか」


「下心がなければ、天宮くんと友達になれるかな」


「それもどうだか、まあ、今まで通りにしてれば」


「(俺は何言ってるんだ。しつこく話しかけられて迷惑だったはずだ)」


「私に下心はないよ。だから、これまで通り話しかけるし、帰りはついて行くからね。後からまた迷惑なんて言われても受け付けません」


「それに関しては今までも無視して近づいてきただろ」


「あはは・・・・・・」


「(今日はまた一段と天宮くんが受け答えしてくれる。これも進歩?)」


「ところで、あの、小さい友達はいいわけ?」


小さい友達とは、亜子のことだろう。


本人にそんなことを言ったら絶対に怒られる。


背が低いことをかなり気にしているから。


「『こうなったら亜子ちゃんを止めることはできないから』って言って背中押してくれたの」


「(諦められたのか)」


「ということで今後ともよろしくお願いします」


「・・・・・・」


< 21 / 31 >

この作品をシェア

pagetop