絶対に、離さないで。(仮)


「天宮と浅葱、後で職員室に来てくれ」


帰りのHRで、堂々と名指しされる。


「(私と天宮くん・・・・・・?何かしたかな)」


そのあと、二人で職員室に行くと、担任の須藤先生はニコニコと腕組みをしていた。


「よく来たな。お前たちを呼んだのはな、資料室の掃除をして欲しいからなんだ」


「はい?」


「・・・・・・」


「職員会議でどの先生が担当するかくじで決めたんだけど、運悪く俺が外れ引いちまってよ」


「待ってください、どうして掃除で私と天宮くんなんですか。掃除くらい誰にだってできます」


「おまえら帰宅部だから放課後あいてるだろ。それに、なーんか最近二人親しいみたいだからな」


「先生が外れを引いたんですから、先生が掃除してくださいよ」


「そうしたいのは山々なんだが、実は今日娘が熱出しててな、早く帰ってやりたいんだよ」


須藤先生には3歳の娘さんがいる。


「・・・・・・それなら仕方がないような・・・・・・」


先生の娘さんを悲しませるわけにはいかない。


「おー、やっぱ浅葱はいい生徒だ!な、浅葱もこう言ってくれてるんだし天宮もやってくれるよな」


「はあ」


気のない返事の天宮。


「あ、言っとくけど、勝手に帰ったら後日もーっときつい仕事やらせるからな」


「・・・・・・わかりました」


「んじゃ、帰るときはちゃんと職員室寄って、居る先生に声かけろな」


「はい」


資料室の鍵と掃除道具を受け取ると、まっすぐ資料室へ向かう。


「天宮くん、頑張って早く終わらせようね」


「ああ」

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