絶対に、離さないで。(仮)
「私ね、天宮くんのこと気になるんだ」
しばらくの沈黙を遮るように、琴葉は言葉を発した。
「は?」
天宮は、おかゆを食べる手をピタリと止める。
「ああ、ううん、別に深い意味はないよ。なんとなく、なんとなくだから」
「そう」
黙々とおかゆを食べ、口を開かない。
本当に無口だ。
「(何言ってるんだろう、私。もっとほかに話すこと___)」
「あのさ、俺のことはほっときなよ」
「え。・・・・・・一人が好きなの?」
「好きとかじゃない。一人の方が、余計なこと考えなくて済む」
「私が声かけたりしたら迷惑?」
「迷惑」
即答だった。
割とショックだ。
「そうだよね。でも、これも何かの縁ってことで、少しは仲良くしてもらえないかな」
「・・・・・・助けてもらったのはありがたいけど、それは無理だと思う」
「そう・・・・・・。あ、食べ終わった?持って行くね。その風邪薬、市販のだけどちゃんと飲んでね」
少し残念だけど、嫌がってるのに無理に、と言うわけにはいかない。
食器を片付け、リビングで課題をすることにした。
一時間たった頃様子を見に行くと、すっかり寝ていた。
「やっぱり、気になるんだよなあ」