絶対に、離さないで。(仮)
翌朝、目が覚めることには天宮はもういなかった。
絵里子に聞くと、琴葉が起きる1時間も前に帰ったそうだ。
熱も下がって元気そうだった、と。
「天宮くん琴葉にお礼を言っといてくれ、だって。礼儀正しいし、いい子ねえ」
「そうなんだ」
「お母さん、天宮くんなら文句は言わないわ」
「ん?」
「え、だって天宮くんって琴葉の彼氏なんでしょう?」
「え、えええ!?違うよ!」
娘が家に男を連れてきたら彼氏だと思うのは当然だろう。
「ええ、違うの?じゃあ、天宮くんと琴葉って・・・・・・」
「ただのクラスメイトだよ」
「なにそれー。お母さん納得いかない」
そう言って、今年40歳のいい年した大人が頬をぷっくり膨らませてぷんぷんしている。
琴葉はそれ以上質問されるのも面倒なので、すぐに朝食を済ませて家を出た。
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