スキ、だけじゃきっと
それが出来ないのはやっぱり、今こうして一緒にいられるのは『友達』だからであって、それが急に『片思い』に変わったとき……こうして一緒に笑い合えなくなるのが怖いから。

言わなければ『友達』でいられる。言ってしまえば、私の『片思い』が私たちの関係に終止符を打つ気がして……怖いんだ。


藤井を見る限り、本当にこれっぽっちも私の気持ちに気づいてないし、本当にこれっぽっちも私に気がないのは分かっているから。


だから、せめて……


「たまにお前って難しいよなぁ」

「たまには私が藤井を悩ませてやろうと思って」

「んだよ、いつも俺に悩まされてるみたいな言い方しやがって」

「わぁ!鈍感 藤井くんにも伝わって何よりです♡」

「語尾にハート付けんじゃねぇ、キモイな」

「レディにキモイって言うんじゃない!」


この距離感でいたい。
いいんだ、別に。


藤井の特別になりたいとか、

下の名前で呼びたいとか、

手繋いでデートしたいとか、

2ケツは藤井にこいで欲しいとか、

家に帰ってからも電話したいとか、

『おはよう』のメッセージ送りたいとか、


……藤井としたい山ほどのことを、夢の中でこっそり叶える生活も嫌いじゃないし。

藤井を後ろに乗せて走るこの景色も、嫌いじゃない。
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