幼なじみじゃ、なくなった夜。
バカにしないで。
「……おーい。生きてる?」
「………ん?」
気付くと、目の前でユラユラ、チキン南蛮が揺れていた。
「夏帆の好きなチキン南蛮。食べる?」
「…大丈夫」
「あそ」
パク、と愛理の形のいい口にチキン南蛮が吸い込まれて消える。
「んーっ、おいしい!
ていうか夏帆、本当に何も食べない気?」
「…へ?」
見ると、私の目の前には紙コップに入ったセルフサービスのお水が1つ。愛理が持ってきてくれたものだ。
「お腹減らないの?」
「あー…うん」
お腹もへらないし眠くもならない。
昨夜から私は、どうやら人間としての欲求が正常に機能していないようだ。