幼なじみじゃ、なくなった夜。










「瀬戸内さん、ここまた誤字ってる。最近どうしたの、やる気あるの?」



「すみません…気を付けます」




先輩から書類を受け取ると、呆れたような視線とため息が返ってきた。



自己嫌悪感に苛まれながら席に戻ると、愛理の心配そうな視線。




「夏帆。大丈夫?」



「うん…ありがと、大丈夫」





最近、凡ミス連発の私はこんな風に先輩に怒られっぱなしだ。



はじめは心配してくれていたけど、最近はもう、ただ単にやる気がない奴と見なされている。





あー…ほんと、何やってんだ私は。




こんなんじゃダメだ。こんなんじゃ。





…よし!!





「すみませんっ!生、おかわりくださいっ!」




というわけで私は、一人で居酒屋に来ている。



はじめて来たところだけど、カウンター席が沢山あって一人のお客さんも多いし、メニューも充実してるし、なかなか安いし。


我ながらいいところを見つけた。これから通わせてもらおう。





店員さんからビールを受け取って、グイッと一気に飲み干そうとしたときだった。




「もうやめとけば?」




……え。





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