幼なじみじゃ、なくなった夜。
アホだったみたい。






【昨日は少しだけど、一緒に飲めて楽しかった。またよかったら、飲み行こう。今度は偶然じゃなく。】




涼平からそんなLINEがきたのは、翌日の昼休みのことだった。



居酒屋で一足先に会計を済まそうとした私を引き留めて涼平は言った。




「ここは俺が出すよ」


「え、何で?いいよ、自分で出すよ」



「いや出させて。そのかわり、連絡先教えてよ」




…というわけで、今に至る。



別に、そんな頑なに、断る理由も…ないような気がして。




でも、2人きりでまた飲み行くっていうのはなぁ、うーん…。




「これ元カレ?」




ヒョイっとスマホが取り上げられた。




デザートのガトーショコラを頬張りながら、愛理が興味深そうに私のスマホを見ている。




「ちょっ、人のスマホ勝手に見ないでよ」



「行くの?飲み」



「それは今考えて…とりあえずスマホ返して!」


「考えなくても、行けばいいじゃん。断る理由も別になくない?」



「…そうだけどなんか心情的に色々あるの!とにかく返してって!」




無理やりスマホを奪い取ってホッと安堵したのも束の間。




「愛理…何勝手に返信してんの!?」



「どーせまたしょーもないことでウダウダ悩みそうだから返しといてあげたよ☆」



「あげたよ☆じゃないよっ!!」






取り返したスマホの画面には、私からの【もちろん行きましょう☆】という返事が送信された後だった。



愛理…いつのまに!!!!




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