幼なじみじゃ、なくなった夜。





「もう、そんなに怒んなくてもよくない?」




珍しく外でランチをしたカフェからの帰り道、愛理が不服そうに言う。




「怒るよ!人のスマホで勝手に返信するなんて」



「ごめんてー。それにしてもカフェでランチとか、やっぱり全然お腹いっぱいにならないわー」




たぶん世間一般のOLの大抵がお腹を満たすことが出来る量だったと思うけれども、普段社食で男並みの食事量を摂っている愛理からすると大分物足りなかったらしい。




「じゃぁ次は愛理が好きそうな定食屋見つけとく」



「…ふーん。また外でランチする気なんだー?」




愛理がじ、と私の顔を意味ありげに覗き込む。




「べっ、別に深い意味なんてないからね?ただ、たまには外でランチするのもいいかなぁと思っただけで!」



「ふーん?ま、いいですケド」




そして何か言いたげな視線を残して自分のスマホを操作し始める。





…最近の愛理は、深く詮索してこないかわりにこういう表情をよくする。




それがどうにも、ムズ痒い。



まぁ根掘り葉掘り、聞かれるよりはいいけども。






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