幼なじみじゃ、なくなった夜。






18時。定時だ。



順調に今日の職務を終えた私は、パソコンの電源を落とした。



「夏帆、今日帰りに一杯どう?
昨日の話詳しく聞きたいし」



同じようにパソコンの電源を落とした愛理が、向かいの席から声をかけてくる。




「あー…ごめん。今日は先約あって」



「あら。もしかして榎波?」




「!!!」




思わず動きを止めた私に、愛理がニヤリと口角をあげる。そして私の耳元に顔を近づけると、色気たっぷりの声で囁いた。




「また、同じ服で会社…こないようにね?」



「!? くっ、来るわけないでしょ!バカ!」




それじゃぁお先に!と、カバンを引っ掴むと逃げるように部署を後にした。




愛理め…絶対、面白がってる!




< 14 / 162 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop