幼なじみじゃ、なくなった夜。







「また一人で飲んでるんだ」



涼平が運ばれてきた生ビールを受け取りながら言う。



「せっかくの金曜の夜なのに?」



「…涼平もでしょ」



「まぁね」




ジョッキをガチ、と合わせて一気に飲み干す涼平。



知らなかった。涼平ってお酒強かったんだ。




「なんだよ」



私の視線に気づいた涼平が怪訝な顔をする。




「いや、別に…」



「なんだそれ。ていうか今日、榎波は?」



「榎波?」





“榎波先輩の家へ遊びに行くことになりました”




「し、知らないっ!」



「あ、そ?」





突如現れた足立さんのイメージをかき消そうとビールをあおる。



だから、全然思い出してもないし、動揺もしてないから。




うん、変に心臓がバクバクしてるのは、その、お酒のせいだから!





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