幼なじみじゃ、なくなった夜。
「その彼女と奇跡的に再会して、もしかしたらって思ったけど。やっぱり俺は、アイツには敵わない」
「……涼平」
「俺思ったんだけどさ。
好きなモン手に入れるのに、逃げてちゃダメだよな」
涼平が私を見る。
その瞳はなんだか物凄く優しい光を湛えて見えた。
「周りの目とかネガティブな思い込みとか、そういう言い訳して逃げるのは楽だけど、後悔が残る。すっげー残る」
“幼なじみじゃなかったら、隣にいることすら許されないんだからね!”
…知らないうちに、私は自分自身に呪いをかけていたんだろうか。
“幼なじみ”という鎖で、自分と榎波を、繋いでいたんだろうか。