幼なじみじゃ、なくなった夜。

エレベーターには、私と榎波、2人きり。




「…って何してんのよ！？」



ようやく我に返った私は、速攻で榎波の手を振り払った。



怪訝そうに私を見下ろす榎波。




「は？」



「は？じゃないよっ！なに、手とか繋いじゃってるわけ！？しかも会社で！！」



「悪い？」



「わ、悪いに決まってんでしょ！？急に手繋ぐ意味がわかんないし、噂とかになったらどうすんの！？」



絶対、ぜーったい誰かに見られてたし！！




「…別によくね」



しかし榎波は一切悪びれることなく、やけに澄ました表情でそう言い放った。




「いいわけっ…！」



「着いた。行くぞ」



「あっ、ちょっと！」




スタスタと、私をエレベーターの中に置いて歩いていってしまう榎波。




「〜〜〜っ、ちょっと待ってよ！」