幼なじみじゃ、なくなった夜。
そして歩くこと15分ほど。
辿り着いたのはいつもの居酒屋…などではなく、ものすごくオシャレな感じのダイニングバーだった。
「え、ここ!?」
目を見張る私に
「おう」
と手慣れた様子でドアを開ける榎波。
そしてなぜか、ドアを開けたまま中に入ろうとせず、じっと私を見つめている。
「え、入らないの?」
不思議に思って聞くと、
「…お前が入んの待ってんだけど」
不機嫌そうに榎波が言う。
えっ…
えぇえ〜!
まさか榎波がそんなジェントルマンなことをするなんて…
「榎波のくせに…!」
「お前いい加減ぶっ飛ばすぞ?」
榎波の声がガチだったので、私は慌てて中に入った。
なるほど、きっとオシャレなバーでは男性にドアを開けてもらうのが常識なんだな。ふむふむ、勉強になりました。