幼なじみじゃ、なくなった夜。





『…え、もしかして、まだくっついてなかったの?』




思わず黙り込んだ私に、舞香が訝しむように聞いてきた。



「くっつくも何も…」



『マジで!?アンタ達大学も職場も一緒なんでしょ!?てっきりもう付き合ってんのかと思ってたわ!むしろそろそろ結婚かと思ってたのに!』




けっ…


結婚!?





「な、な、な、何言ってんの!?そっ…そんなわけないじゃん!!」



思わず声が裏返った。しかも噛んだ。だって舞香があまりに突拍子もないこと言うもんだから!




『なーんだ、そっかぁ。榎波のやつ、まだ告ってないんだ?』



「こっ告!?」








“好きだ”






ふっと頭を過ぎったのは榎波の痛いくらい真剣な瞳。


思い出したが最後、ブワッと顔が熱くなって、心臓がバクバクと変に動き出して。なんか私…告られた直後より動揺してる!?




「ま、いーや。じゃぁ同僚さんの榎波にも声かけて来てよ。待ってるからね!」





電話の向こうで真っ赤になっている私にお構いなしに、舞香は言いたいことだけ言って、こっちの返事も聞かず、あっさりと電話は切れた。




相変わらずサバサバしてるなぁ。




ていうか、あの言い方。…もしかして舞香も、榎波の気持ちに気付いてた…ってこと?






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