幼なじみじゃ、なくなった夜。





「……マジでっ!?」



思わず大きめの独り言をつぶやいて、ボフッとベッドにダイブする。






“ずっとお前は、俺にとってはただの、好きな女だった”




そう、榎波は言っていたけれど。




ずっとって…いつから?


いつから榎波は、私のこと…。






小学校。中学、高校、大学。





楽しかった動物園への遠足も。




盛り上がりまくった学園祭も。




数学のテストで赤点取った日も。





……大学で、はじめて彼氏が、できた日も。







思い出す思い出全部に、榎波がいる。







『私!初彼氏ができた…!』




彼氏ができて、一番はじめに報告したのも榎波だった。




『ふーん、初って…やっとかよ』



『悪かったね、遅くて!』



『誰も悪いとか言ってねーし。
…よかったじゃん?』




そう言った榎波は、笑っていたような…気がする。




あのとき榎波は。




どんな気持ちで、私の話を聞いていたんだろう…。






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