幼なじみじゃ、なくなった夜。
くそう、この2人の現状と世間の流行まで視野に入れた名推理だと思ったのに…!!
「じゃぁ何!?」
逆ギレ気味で聞くと、
「お前なぁ…」
はぁぁぁ、と、地の底まで届きそうな深いため息を吐き出す榎波。
「大人の男と女が2人きり。裸。やることなんて一つしかねぇだろ?」
や、やること…??
ゴクリと唾を飲み込んだ私に、榎波がふ、と僅かに口元を歪めた。
「セッ…「あーやっぱいい聞きたくない!!」
この世には知るべき事実と、知らない方がいい事実がある。今回は完全にその、後者だ。
「は?なんだよ、お前が聞いて…」
「じゃっ私帰るわ!今日も仕事だし!」
「おい、ちょっと待…」
「お疲れっした〜!!」
納得いかなそうな榎波をそのままにして部屋を出た。
…本当はわかってる。
さすがに分かるよ。
もう私も24だし、少ないけどその…そういう経験だって、あるし。
でも、私はどうしてもその事実を受け止められなくて。受け止められないなら
…わからないフリをするしかない。
「…つーかどこ、ここ!?」
榎波は同じ会社だから、きっと私の生活圏内からそう遠くではないんだろうけど。
見たことのない綺麗なマンション。
「アイツ、私と同じ会社だよね…?」
そうぼやきながら、とりあえずグーグルマップを起動した。