幼なじみじゃ、なくなった夜。
みんなと話していると、なんだか高校生の頃に戻ったみたいだ。
みんな見た目は大人になっても中身は変わってなくて。
あぁ、私高校生だったんだなぁなんて、当たり前のことだけど、しみじみとそう思う。
その時、不意に会場がザワめいたのが分かった。
「おっ、来たよ!!」
隣にいたえっちゃんが興奮気味に私の肩をバンバン叩く。
「ちょ、痛いって」
「王子登場!」
王子、って…。
えっちゃんに促されるままに入り口へ視線をやると、女子からの視線を一身に集めた榎波がキョロキョロと辺りを見渡していた。
「王子全然変わってないじゃん!かっこい〜!」
「ちょ、えっちゃん!?」
どうやら私の声など全く耳に届いていないらしいえっちゃんが、榎波の方に駆け寄っていく。
えっちゃんだけじゃない、榎波の姿はあっという間に群がった女子たちで見えなくなってしまった。
…榎波の女子の吸引力…恐るべし!