幼なじみじゃ、なくなった夜。
「…は、はぁ!?」
あまりに横暴な榎波の物言いにカチンときた。喋りづらかったけど、顎をつかまれた状態のまま再度榎波に抗議する。
「そんなの無理に決まってんでしょ?付き合いだってあるし!」
「うるせーな、とにかく俺以外の男の前でヘラヘラすんなって言ってんだよ」
「ヘラヘラ!?そんなのした覚えありませんけど!」
「してたよ。酔っ払いのマヌケ面でな!」
…う…うわー…なんか、すっごいムカつくわ!
至近距離で睨み合う私と榎波。
何で私ばっかりこんな一方的に文句言われないといけないわけ!?そんなこと言うなら榎波だって…!
「榎波だって女子とヘラヘラ喋ってたくせに」
「は?」
「終始女子とイチャついてたくせに。ピースして写真なんか撮ってたくせに」
「お前…」
「いいですねー、あんだけモテたら選び放題ですね〜。再会ラブとかもありえる…「お前な」
グ、と近づいた榎波との距離。吐息がかかるくらいにまで近づいた瞳には、明らかな怒りの色が浮かんでいて。
あ、やばい、怒ってる
そう思ったときには
「…ほんっとムカつくわ」
…もう遅い。