幼なじみじゃ、なくなった夜。
自虐的に口角をあげた榎波は、吐き捨てるようにそう言うと私に背を向けた。
「ちょ…榎波っ…!」
名前を呼んでも、振り向かない。
「…バカ」
そ、と唇に触れると、心なしかまだ熱を持っているように感じて。
「バカ…私…」
思わずその場にしゃがみこむ。
“いいですねー、あんだけモテたら選び放題ですね〜”
何であんなこと言っちゃったんだろう。あんな、榎波の気持ちを踏みにじるようなこと。
最低だ…私。