幼なじみじゃ、なくなった夜。
「わっ、すみません!」
私が急に立ち止まったせいで後ろから歩いてきた人がぶつかってしまったようだ。
その人が持っていた仕事用だと思われる資料がドサッと人混みの真ん中に広がり、そこを避けるようにして皆歩いていく。
「ほんとごめんなさい…!」
わー、何してるんだろう私ったら!!
慌ててその資料を拾い集めていると、
「……もしかして、夏帆?」
すごく懐かしくて、そしてすごく聞き覚えのある…声がした。
まさかと思いながら、ゆっくりと顔をあげると。
「……うそ、涼平…?」
「やっぱり夏帆だ!すげー!久しぶりだな!!」
顔をクシャクシャにする笑い方。
…あの頃の私が、一番好きだった笑い方。