幼なじみじゃ、なくなった夜。
そして退社後。
私と愛理は、今朝、涼平と会った近辺をウロウロしていた。
「あ、ねぇねぇ、あの前から来る男の集団、違う?」
愛理が前方から歩いてくる三、四人のサラリーマン集団を見つけて、私の肩を叩く。
「違うよ〜…てか、そろそろ帰ろうよ。何でそんなに私の元カレに会いたいの?」
「だってなんかどんな人か興味あるんだもん、夏帆の元カレって。どーせ暇だし!」
「あのねぇ、こんなことを暇つぶしに使わな…」
「夏帆?」
呆れて愛理を咎めていたところで、ふ、と聞こえた訝しげな声。この声、って…
振り向くと、予想通りそこには、怪訝そうに私を見る榎波が立っていた。
後ろから「待ってくださいよ榎波先輩っ!」とシフォンのワンピースを着た女の子が追いかけてくる。
「もう、急に行っちゃうからビックリしたじゃないですかぁ〜!」
…あ。この子、今朝も榎波と一緒にいた子だ。