幼なじみじゃ、なくなった夜。






「久しぶり榎波。ちょっと見ないうちにずいぶん可愛い彼女作ったみたいね」



私の隣からそう言ったのは愛理。

愛理の言葉に、榎波が「はぁ?」と分かりやすく怪訝な顔をする。




「彼女じゃねーよ、同じ営業の後輩」



「あ、私先月異動で営業になった足立っていいます!よろしくお願いしますっ!」




ペコッと勢いよく頭を下げた衝撃で、サラサラとした彼女の栗色の髪が揺れた。



近くでみるとやっぱり、可愛い子だ。



ただ顔が可愛いだけじゃなくて、女子らしい服装にしっかり施されたメイク。手入れが行き届いた髪の毛。ザ、女子力って感じだ。




「あ、私は榎波の同期の、瀬戸内です…よろしく」




最近手入れを怠っているカサカサの指先をなんとなく隠しながら私も頭を下げると、「で?」と榎波がさっそく切り込んできた。




「こんな所でウロウロ、何やってんの」



「えーと、それは…」




ど、どうしよう、正直に元カレ探してます☆とか絶対言えないしっ!




何かいい言い訳はないかと頭をフル回転させていると




「夏帆の元カレの出待ち中♡」




愛理がニコッと、天使の微笑み更にはハートマークつきであっさり暴露してしまった。




あっ…愛理〜!!!





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