幼なじみじゃ、なくなった夜。
「……は?」
まさに狐につままれたような、そんな顔した榎波。
ポカンと口を中途半端に開けたまま、愛理から私に視線を移す。
「それどういう…」
「じゃぁ夏帆!そろそろ私達張り込みに戻ろっか!じゃぁね榎波と足立さん」
榎波の言葉を無理やり遮った愛理は、私の肩を抱いてクルリと二人に背を向けた。
「ちょっと愛理、張り込みって、ていうか何で暴露…!」
「いいから、今は黙って歩いて」
えぇ〜…?
愛理に肩を抱かれたまま歩きつつも、クルリと後ろを振り向くと、こっちをガン見したままの榎波が足立さんに引っ張られて無理やり歩き始めるところだった。
「よかったね。榎波は全然あの子に興味ないってさ。ま、女の方はどうか知らないけど」
小声でそんなことを言ってくる愛理に、胸中を読まれてしまったようでドキッとする。
「気になってたんでしょ?榎波とあの子がどういう関係か」
…あー、やっぱり愛理には敵わない。