幼なじみじゃ、なくなった夜。





「ちょっと、愛理それってどういう…」



「さ、午後も仕事頑張ろうっと♡」





ふ、普通にバカって…!





そしてバカ発言のショックを微妙に引きずったまま午後の就業時間になり、いつも通りパソコンにデータを入力していると課長に呼び出された。




「はい、何でしょう」



「悪いけど資料室行って5年前の決算報告書探してきてくれるか?」



「5年前ですか?」



「ちょっと急に必要になってな。頼む」





資料室かぁ。新人の頃は事あるごとに足繁く通っていたけれど、最近は行ってなかったな。



パソコン作業と読書で凝り固まった肩を目立たないようにグルグル回しながら資料室へ向かう。



あー、肩凝った。久しぶりに整体でも行こうかな…。



そんなことを考えながら資料室の扉を開けると、微妙に埃っぽい、本とインクの匂いがした。




あー、この匂い。久しぶりだ。





< 86 / 162 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop