幼なじみじゃ、なくなった夜。
「夏帆、今日帰りにご飯してかない?私おいしそうなビーフシチューあるお店見つけたんだけど」
仕事を終え、帰る支度をしていると一足先に片付けを終えた愛理が声をかけてきた。
「あー…ごめん、今日はなんか、一人で考えたいことあって」
「…そっか、了解!じゃ、また今度ね」
いつもならしつこく、むしろ拉致をする勢いで誘ってくる愛理も、今日はあっさりそう言って「お疲れ〜」と帰っていった。
踏み込んでこない優しさがありがたい。
帰り道、ふとマックの看板を見つけて足を止める。
マックかぁ…そういえば最近、全然行ってなかったな。
高校の頃は毎日のようにマックで時間を潰していたものだけど。
…たまにはいいかな。
扉を開けると、部活帰りだろうか、ジャージ姿の高校生が何人かいて、無性にそれが懐かしかった。