幼なじみじゃ、なくなった夜。
居酒屋以外で榎波と2人で食事するのは久しぶりで、なんだか新鮮だった。
「あ〜、まだ水曜かよ〜。一週間なげぇなー」
帰り道。
2人で夜道を歩きながら、榎波がぼやく。
「そうだね〜、なんか最近忙しかったしなー」
「あー、例のトラブルで経理からもヘルプ行ってたもんな。お疲れさん」
「営業も最近どう?忙しい?」
「んー、ぼちぼちだな」
「ていうか、榎波も後輩持つ立場になったんだね。なんかビックリしちゃった」
「あー、足立のこと?」
「うん、すごい可愛い子だし、仕事もできそうだし、よかったね」
「あー、可愛い?まぁ仕事はまぁまぁ出来るけど…」
ポリポリ頭をかく榎波。
告白されたこと…私には教えてくれない、よね。そりゃそうか。
「…つーかお前こそ、どうなんだよ。その後」
「その後?」
「あの…元カレだよ!」
なぜだか怒ったように言う榎波。
「涼平とは別に…連絡先交換したわけじゃないし、何もないけど」
「…あっそ!」
ほら、やっぱりちょっと、怒ってる。