極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~


「なにが」
「社長の笑顔ですよ。見てるとドキドキして苦しくなります」
「そんなのお互いさまだろ。俺はきみに普段と違う姿を見せられる度、目を奪われてきたんだから」


なんのことを指しているのかと思ったら、ゴルフウェアや私服、登山服のことを言っているらしい。


「中でもゴルフウェアは強烈だった。ゴルフに負けたのはきみが可愛すぎたからだ」


まだあのときの勝負を引きずっているなんて。
可愛いと褒められたことよりも負けず嫌いのしつこさに呆れてしまい、つい笑ってしまう。


「笑うなよ」
「だってそれは関係ないですもん。実力ですよ、実力」
「ならまた勝負をしよう。今度はふたりきりで。服は俺が選ぶから」


さり気なく次の予定を立てられて嬉しくて気持ちが舞い上がる。

続いて出て来た食事も美味しいし、幸せってこういうことなのかも、と思った。

でもちょうど話題にしていた尾羽毛の煮物が運ばれてきたとき、店員さんの後ろを通ったふたりの若い男性の会話の一端を耳にしてから意識が別なところに行ってしまった。


『アイツ不正に手を染めてるらしいな』


フセイ…?


『マジかよ。バレなきゃいいけど』


バレなきゃいい?


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