極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
そんな時、今回と同じ問題が起きた。

税理士としての経験が豊富な橋谷先生は当然この問題に気付いた。

ただ、これを何故だか名誉挽回のチャンスだと考え、問題を紬に報告せず、いきなり役員会で不正を暴いたのだ。

その結果、問題は明らかになったが、まるで魔女狩りのようにして不正を暴き、立場をわきまえず解雇を口にした橋谷先生の姿勢に非難が集中。

橋谷先生を解雇しろとの声が挙がった。


「ちょっと待ってください」


所長の話し遮り、疑問を投げかける。


「立場をわきまえなかったのはいけないかもしれませんが、問題を明らかにして、なぜ辞めろと言われるんですか?そんなのおかしくないですか?」
「そうだな。ただ、問題を起こした職員たちが辞める間際に『自己評価が異常に高く、バカみたいに天狗になってる税理士なら気付かないと思った。現に一度ならず二度、見逃しているんだから』と放った言葉が問題になったんだ」
「二度も…」


それは解雇しろという声が挙がるのも、解雇されてしまうのも無理はない。
でもそんなことが起きて、紬は大変だっただろう。
ただでさえ経営を立て直さなければならなかったのだから。
彼の心労は計り知れない。


「さらに悪いことに次に来た税理士は使いものにならなくて、勝俣くんの前に雇った税理士は2ヶ月で解雇されたそうだ」


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