極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
それに関しては紬も似たようなことを言っていた。

まさか銀行の人にまで話が伝わり、所長が知り得るまでになっているとは思わなかったけど、噂を払拭するために役員会に参加することを紬と約束して、今もその準備を始めている。

それなのに、そのことが理由で不正が起きたとなれば状況は変わってくる。


「でも、なんで…」


私は普通に仕事をして、普通にひとりの男性を好きになっただけなのに。

それが悪い結果をもたらすなんて。


「結局規則の通りだったんだよ。関係者と懇意になり、目立つ行動が増えたことで相手先のマイナスになってしまう。裏の意味を教えたが、一足遅かった。いや、元を返せばきみをあの会社の担当にしたのが間違いだった。すまない。変なところできみを傷付けて」
「いえ、所長が悪いわけじゃないですから謝らないでください」


私が未熟だったから、私が女だったからいけないんだ。

結果を残せなかった私のせい。

不甲斐ない結果だけど紬と彼の会社のことを考えたら身を引くしかない。


「ただ、ひとつだけいいですか?今回は、社長に自分の口から話したいのですが」
「ん?あぁ。それは構わないよ。ちゃんと話して来なさい。今後のためにも」

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