極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~

役員会



「お時間ですのではじめます」


進行役を任された実松さんが役員会の開始を告げた。

室内には20人の役員が顔を揃えている。
そのほとんどは50代から70代くらいで、先代から会社を守ってきたであろう風格が漂う。

その分、最後に上座に腰掛けた紬の若さが良い意味でも悪い意味でも際立つ。

若さゆえの経営戦略によって社は持ち直したとは言え、この人たちを説得するには苦労したのだろうと思わずにはいられない。


「いや、彼らは若社長に頭が上がらないさ。真っ先にリストラにあってもいい昔気質の役立たずたちなのに、役員報酬をしっかり貰っているんだからな」
「ちょっと、所長!」


たしかに役員は会社が経営不振に陥ったとき、真っ先に首を切られる対象になる。

でも紬がそれをしなかったのには相応の理由があるのだろうし、周囲や部下に認められていなければそのポジションを取ることは出来ない。

それは所長も分かっているだろうになんでそんなことを言ったのか。

慌てて周囲に目を配り、様子を伺う。

でも役員の方々は個々の話に夢中で聞こえてはいなかったようだ。


「もう。余計な緊張を与えないでくださいよ」



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