極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「ちょ、ちょっと、社長!それ、そんな簡単に書くものじゃないですよ!」
「なぜ?俺の中ではもうとっくに決まっていることだ。こうして藤澤所長も認めてくれているわけだし、役員たちにも認めてもらった今、書かない理由はないだろう」
そんな冷静に答えられても本物の婚姻届を前にして私は冷静でいられない。
それに役員の方に認めてもらったって、なんのこと?
「先生たちが席を外したあと、おふたりが結婚することを社長の口から報告されたんですよ」
見兼ねた実松さんが教えてくれた。
でもなんで?
なんでこんなときに言う必要があるの?
紬の方を見て答えを求めるけど、婚姻届の記入に真剣な彼は答えてくれない。
仕方なく所長を見れば苦笑いとともに教えてくれた。
「こんなときだから言うんだよ。また変な憶測をされて、余計な詮索されて仕事に支障が出るのは嫌だろ。公認の仲の方が仕事はやりやすい」
「でも『やっぱり色目使われていたんじゃない』って言われるじゃないですか」
ネガティブな私の考えを実松さんから否定してくれた。
「『あの子なら惚れるのも無理はない』と皆さんおっしゃっていましたよ。それに結婚することはいいことだとも。ね、社長」
「あぁ。『結婚すれば自身の生活がかかって来るから裏切ることはない。社長のことを好きだと公然に言った子だからこそ、社に好結果をもたらす』って言ってくれた。これは藤澤所長の考え通りですよね?」